「争族」になれば、争いのない相続を前提とする、遺産整理は行えなくなります。
弁護士に依頼するしかありません。
弁護士報酬は遺産整理の費用の何倍にもなり、訴訟が必要となり、なにより親族との骨肉の争いに突入することになります。
費用の違い
弁護士が積極的に遺産整理業務をやっているのを余り聞かないけれどもそれはなぜかだろうか、というのを友人の弁護士に聞いてみたことがあります。彼は遺産整理業務はどんなことをするのか(そもそもそういう業務の存在を知らなかったようです)を詳しく私に訊ねた後、こう言いました。
「正直な話、弁護士にとっては争いのある相続の方が報酬額が高いため、聞く限り手間のかかる遺産整理業務をやろうという発想がないのでは。少なくとも私はそうだ。」とのことでした。
確かに争いになれば相続手続きの報酬額は全く変わってしまいます。
大雑把な計算ですが、遺産の1%前後を報酬とする遺産整理業務と、争いのある相続の訴訟代理では、報酬合計額が10倍から20倍くらい変わってきます。遺産整理業務を20件やったとして、ようやく1件の相続争いの裁判の報酬に追いつくわけです。
しかも、訴訟代理では、勝っても負けても着手金報酬はかかります。着手金は成功報酬の半額であることが多いようですが、それでも遺産整理業務の6~7倍の報酬額です。
こういった事情では弁護士が積極的に遺産整理業務に関わることは期待できないでしょう。
「争族」は弁護士の得意分野
もっとも、私は弁護士の報酬額自体が異常だとは全く思いません。
我々司法書士も、法務省の認定を受けた認定司法書士となれば、簡易裁判所における訴訟代理権を付与され、経済的利益が140万円以下の争いのある法律関係を扱うことができるようになり、私自身も訴訟代理業務を行うことがあります。
それを通じてわかったのは、訴訟には高度な法律知識と適時の対応が必要であるということ。争いになればそれだけ専門性が増すため、それに応じた費用がかかってしまうのはやむを得ません。
「争族」はまさに弁護士の専門性を発揮するフィールドであり、私の友人がそう答えたのも報酬額の高さだけが理由ではなく、自らの法律知識を発揮できる訴訟代理に意識が向くのは当然と言えます。
重要なのは、相続を争いにしないこと
ここで申し上げたいのは相続を争いにしないのがいかに大事か、ということです。上で述べたように、費用は上がってしまうのは間違いありません。
また費用の問題のみならず、争う相手は親族です。一度争いになれば、後に関係を修復するのはほとんど期待できません。
相続は、争いになった時点で勝者はいないのです。
争いの原因を取り除くことこそ、遺産整理業務が依頼者の方々に提供できる最大のメリットと考えています。



